内容

5. 災害を知る・・・地震

5.1. 地震のメカニズムと種類

日本列島は、最低3つのプレート(海側の太平洋プレートとフィリピン海プレート、大陸側のユーラシアプレート)に囲まれており、さらに大陸側のプレートの東日本側は北米プレートであるとも考えられています。
大陸側のプレートの下に、フィリピン海プレートと太平洋プレートが年に数㎝程度ずつ潜り込んでいます。
図5.1-1 プレート境界図
図5.1-1 プレート境界図



海側のプレートの潜り込みに伴い、陸側のプレートの端が引きずり込まれ、それが限界までくると、元に戻るエネルギーが発生して地震が起こります。
これが海溝型地震の一つの特徴です。

また、陸側のプレート内部にたまったエネルギーが、プレート同士の境目に出るだけでなく、プレート内部にも影響を与えて断層などを形成し、陸域の浅いところを震源とした地震が起こります。
これが内陸型地震の一つの特徴です。

(参考資料:『日本の地震活動』 文部科学省地震調査研究推進本部)
図5.1-2 地震の仕組み図
図5.1-2 地震の仕組み図


表5.1-1 地震の種類
  海溝型(プレート境界・内部)の地震 内陸型(活断層)の地震
特徴
  • 揺れている時間が長い(1分以上)
  • 津波が襲ってくる可能性が高い
  • 大きな被害が広域に及ぶ
  • 数十年から100年程度の間隔で発生
  • 揺れている時間は短い(10秒~数十秒)
  • 震源が浅く、断層付近での揺れが激しい
  • 大きな被害が狭いエリアに集中する
  • 千年から1万年程度の間隔で発生
事例
  • 大正関東地震(関東大震災)
  • 東海地震、東南海地震、南海地震
  • 北海道南西沖地震
  • スマトラ沖地震
  • 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)
  • 兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)
  • 新潟県中越地震
  • 新潟県中越沖地震
  • 岩手・宮城内陸地震
マスコミなどでよく話題になる「首都直下地震」は、関東大震災級の海溝型地震が来る前に起こる地震です。
海溝型、内陸型などいろいろなパターンが考えられますが、東京都では、東京湾北部と多摩直下等を震源とした被害評価を行っています。

5.2. マグニチュードと震度

地震の大きさを表す値として、「マグニチュード」と「震度」があります。
マグニチュード(M)は、地震の規模(エネルギーの大きさ)を表し、震度は、ある地点での、地震による揺れの度合いを分類したものです。
ちなみに、マグニチュードが1増えると、地震のエネルギーは約32倍になります。

表5.2-1 マグニチュードの目安
規模 過去の地震例 近い将来、発生が予想される地震
M6
クラス
  • 新潟県中越地震(M6.8)
  • 新潟県中越沖地震(M6.8)
M7
クラス
  • 大正関東地震(関東大震災)(M7.9)
  • 兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)(M7.3)
  • 首都直下地震
  • 宮城県沖地震
M8
クラス
  • 安政東南海・南海地震(M8.4)
  • 東海・東南海・南海の各地震
M9
クラス
  • 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)(M9.0)


表5.2-2 震度と被害のイメージ
規模 状況
震度
4
  • ほとんどの人が驚く。
  • 歩いている人のほとんどが、揺れを感じる。
  • 眠っている人のほとんどが、目を覚ます。
  • 座りの悪い置物が、倒れることがある。
震度
5弱
  • 大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。
  • 電灯などのつり下げ物は激しく揺れ、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。
震度
5強
  • 大半の人が、物につかまらないと歩くのが難しいなど、行動に支障を感じる。
  • 棚にある食器類や本の落下が多くなる。未固定の家具が倒れることがある。
  • 未補強のブロック塀が崩れたり、据付け不十分な自動販売機が倒れることがある。
震度
6弱
  • 立っていることが困難になる。
  • 固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。
  • ドアが開かなくなることがある。
  • 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある。
震度
6強
  • 立っていることができず、這わないと動くことができない。
  • 揺れに翻ろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。
  • 固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。
  • 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物が多くなる。
  • 補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる。
震度
7
  • 立っていることができず、這わないと動くことができない。
  • 揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。
  • 固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある。
  • 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物がさらに多くなる。
  • 補強されているブロック塀も破損するものがある。
出典:気象庁震度階級関連解説表、2009.3